昨今、さまざまな企業がYouTubeに取り組んでいます。
しかし、企業がYouTubeを運用する上で、機密情報の取り扱いやアカウントのセキュリティ対策など、気になる箇所が多いのではないでしょうか。
自社の魅力を動画で広めたいと考えても、アカウントの作り方や運用方法が複雑で手をつけられないこともあるでしょう。
そこで、この記事では、YouTubeアカウントに関する注意点を初心者〜上級者レベルまで幅広く解説します。
本記事では、はじめにアカウント作成時の注意点を解説し、次に運用時の注意点を解説します。また、最後にセキュリティ面での注意点についても解説しているので、ぜひ最後までご覧ください。
YouTubeアカウントを作成するときの注意点
YouTubeアカウントを作成するときの注意点は、以下のとおりです。
- 「ブランドアカウント」を作成する
- チャンネル開設直後は制限がかかっている
- YouTube用のアカウントを用意する必要がある
それぞれ、解説します。
注意点1:「ブランドアカウント」を作成する
特にビジネス目的でチャンネルを開設する場合、YouTubeアカウントを作成する際にはブランドアカウントを選択することが重要です。
ブランドアカウントにすることで、企業名や商品名などをチャンネル名に設定し、公式なビジネス展開が行えるためです。
また、ブランドアカウントは複数のアカウントを管理でき、複数のユーザーで共同運営することも可能なため、チームでの効率的な管理が実現します。
ただし、ブランドアカウントの作成はスマートフォンから行うことができず、パソコンまたはスマートフォンのブラウザを使用して行う必要があるため、注意が必要です。
注意点2:チャンネル開設直後は制限がかかっている
YouTubeアカウントのチャンネルを開設した直後は、すべての機能を使うことができません。
具体的には、「サムネイルのカスタマイズ」「15分以上の動画アップロード」「ライブ配信」といった機能が制限されています。
制限を解除するためには、以下の手順が必要です。
- YouTubeのメニューから「YouTube Studio」にアクセス
- 「チャンネル」セクションに移動
- 「機能の利用資格」というセクションを選択
- 「スマートフォンによる確認が必要な機能」というタブを開く
- 「電話番号を確認」というボタンをクリック
- 画面の指示にしたがって電話認証を完了させる
電話認証の完了後、それぞれの機能制限は解除されます。
注意点3:YouTube用のアカウントを用意する必要がある
アカウントを作成する際には、YouTube専用の新しいアカウントを用意しましょう。
個人の名前をそのままYouTubeのアカウント名として使用することは、プライバシー上の問題があるためです。
個人名を伏せようとGoogleアカウント名を変更した場合、YouTubeだけでなくすべてのGoogleサービス(Gmailやドキュメントなど)にも反映されます。
加えて、Googleアカウント名を変更できるのは90日間に3回という制限があるため、何度も変えるわけにもいきません。
このことから、YouTube専用の新しいアカウントを用意するようにしてください。
YouTubeアカウントを運用するときの注意点
YouTubeアカウントを運用するときの注意点は、以下のとおりです。
- そもそもYouTubeが適切な施策かを見極める必要がある
- YouTubeマーケティング導線の全体像を策定する
- YouTube戦略についても細かく策定する
- 制作レベルが競合に劣らないようにする
- 策定したマーケティング導線・戦略がぶれないようにする
- 炎上のリスクをふまえた発信を行う
- 著作権侵害には十分留意する
それぞれ詳しく解説しますので、ぜひ参考にしてください。
注意点4:そもそもYouTubeが適切な施策かを見極める必要がある
YouTubeを運用する際の最大の注意点は、YouTubeが自社にとって適切なマーケティング施策であるかどうかを見極めることです。
見切り発車でYouTube戦略に乗り出すと、以下のようなケースで企業チャンネルの運用に失敗してしまう可能性があります。
- YouTube内で売れにくい商材を扱っている
- 同業種の競合が強すぎる
- 提供できるコンテンツに対して視聴ニーズがない
- アカウント運用に割けるリソースの想定を甘く見積持っている
このようなリスクを回避するため、以下の分析を行い、自社にYouTubeが適切かどうかを見極めることが必要です。
- 市場難易度分析
- 同業他社の事例分析
- 立ち上げにおけるメリットとデメリットの整理
- かかるリソースの整理
YouTubeは多大な影響力を持つプラットフォームですが、上記の要素を入念に考慮し、自社に適した施策かどうかを冷静に分析しましょう。
注意点5:YouTubeマーケティング導線の全体像を策定する
YouTubeでは初動が大切なため、YouTubeマーケティング導線の全体像を策定する必要があります。
時間の経過によってコンテンツが埋もれがちになるため、動画を公開した初期のパフォーマンスがその後の視聴回数やチャンネル登録者数に大きな影響を与えるためです。
自社のYouTubeアカウントでどのように商品の購買につなげていくかを明確にすることが求められます。
そのためには、まず視聴者が動画のコンテンツを見た後、どのように自社商品・サービスに興味を持ってもらい、最終的に購入に至るのかというプロセスを検討することが重要です。
そして、その流れと施策を1つひとつ明確に決めてマーケティング導線の全体像を設計します。
例としては、視聴者が動画を視聴した後に何をすべきか・どのCTA(Call To Action:行動を促す文言)を使用するか・どのランディングページ(特定のWebページ)に誘導するかなどです。
それぞれの流れは視聴者にとっても分かりやすいものでなければなりません。視聴後の行動を自然かつ効果的に誘導するためには、視覚化してチームで共有し理解を深めることが重要です。
また、マーケティング導線の全体像を踏まえて、プロジェクトのゴールから逆算したKPI(Key Performance Indicator:主要業績評価指標)の策定を行います。
ここで設定するKPIは、視聴者のエンゲージメント(視聴者が動画にどの程度反応しているか)・リード(見込み客)の獲得数・最終的なコンバージョン率(視聴者が実際の顧客になる割合)など、目標達成のための具体的な行動項目として機能します。
以上のように、一貫したYouTubeマーケティング導線の策定には、企業が自らの製品やサービスを市場にどのように位置付け、ターゲットオーディエンスにアピールするかという戦略の明確化が不可欠です。
注意点6:YouTube戦略についても細かく策定する
初期段階で、YouTube戦略についても細かく策定することも忘れてはなりません。
具体的には、以下のような戦略を決めておきます。
- どのような動画を投稿していくかの運用方針
- どのようなチャンネルフォーマットにするのか
- どのようにチャンネルを拡散するのか
- 運用シミュレーション
いずれも綿密に計画し、一貫性を維持することでYouTubeアカウントは成長していくものです。
関心やニーズに応えるコンテンツを企画し、各チャンネルの目的に合わせたフォーマットを選定できれば基盤を築き上げられます。
そして、多種多様なプロモーションを実施しながら、シミュレーションを欠かさないことも求められるでしょう。
注意点7:制作レベルが競合に劣らないようにする
制作レベルが競合に劣らないようにすることも、YouTubeアカウント運用の成功に求められます。
優れたクオリティの動画コンテンツを提供することで、視聴者の関心を引き、競合と差別化できるからです。
YouTubeでは、以下の4項目をチェックし、他のチャンネルと比較して劣ることがないように心がけると良いでしょう。
- 構成力:動画がストーリーに沿って構成されており、視聴者の注意を引きつける展開になっているか
- デザイン力:ブランドを象徴するビジュアル(色使い・フォント・ロゴなど)が動画内で一貫して使われており、視覚的な魅力があるか
- 撮影力:映像の解像度・明るさ・カメラアングルなどが適切で、品質が高いかどうか
- 編集力:動画のトランジション(映像の切り替え)や特殊効果が動画の見やすさを向上させており、無駄のない編集がされているか
それぞれの能力(構成力・デザイン力・撮影力・編集力)の高い動画を制作するためには、専門的なスキルをもったチームを組むか、外部の会社やフリーランスに依頼を考えることも1つの方法です。
注意点8:策定したマーケティング導線・戦略がぶれないようにする
YouTubeアカウントの運用では、策定したマーケティング導線や戦略が一貫性を持っているか注意する必要があります。
- ブランド認知の強化
- ターゲットオーディエンスの確保
- アルゴリズムによるおすすめの獲得
- 効果測定の精度向上
それぞれにおいて、一貫した運営が効果的だからです。
そのため、運用の際には以下のような対策を講じて戦略のぶれを防ぐことをおすすめします。
- 定期的な戦略の見直し
- チーム間のコミュニケーションの確保
- フィードバックの活用
YouTubeでは、チャンネル単位でターゲットをしっかりと定めてターゲット視聴者にとって質の高い動画を作り込むことが大切です。
そのため、事前に策定したYouTubeマーケティング導線やYouTube戦略がぶれないように一貫した運用を心がけることが成功につながります。
注意点9:炎上のリスクをふまえた発信を行う
YouTubeを運用する際には、炎上のリスクも踏まえた慎重な発信が求められます。
YouTubeアカウントを通じて拡大するブランドイメージには大きな影響がある一方で、炎上すると企業ブランドが損なわれることにもなりかねないためです。
炎上を避けるためには、まずコンテンツの内容を慎重にチェックし、ブランドガイドラインや社会的な規範に沿っているかを確認する必要があります。
また、もし炎上が起こった場合は迅速かつ適切な反応が求められるため、事前に対応プロセスやガイドラインも定めておきましょう。
このように、不適切なコンテンツや発言が企業の社会的信用や業績に悪影響を与えることがないよう、注意を払ってください。
注意点10:著作権侵害には十分留意する
YouTubeアカウント運用時には、著作権侵害にも十分留意しましょう。
自社の商品やサービスを紹介する動画で使用する映像素材や背景音楽(BGM)において、気が付かないうちに侵害していたということもあるためです。
著作権侵害が発覚した場合、動画が削除されるだけでなく、アカウントの停止や企業の信頼性が損なわれるリスクもあります。
このことから、普段の動画投稿で常に以下を確認しておく必要があります。
- すべての映像素材について、使用許可を得ているかどうかを検証するBGMや音響効果がフリー素材(著作権フリーで提供されている素材)であるか、またはライセンス購入が必要かを確認する
- クリエイティブ・コモンズ(Creative Commons)ライセンスの素材を使用する際には、適用されているライセンス条件を遵守する
- オリジナルコンテンツの作成に重点を置き、著作権侵害の可能性を減らす
著作権侵害に抵触したというケースが発生した場合は、そのコンテンツをただちに削除し、必要に応じて著作権所有者と協議を行うことが求められます。
また、YouTube内でのコンテンツ管理システム(Content ID)により、自動的に著作権侵害が検出されることもあるため、適切に対応しましょう。
YouTubeアカウントのセキュリティに関する注意点
YouTubeアカウントのセキュリティに関する注意点は、以下の3つです。
- 偽ブランドアカウントを作られるリスクがある
- 設定するパスワードの使い回しを避ける
- 定期的にセキュリティ診断を行う
それぞれ、参考にしてください。
注意点11:偽ブランドアカウントを作られるリスクがある
YouTubeを運用する際には、偽ブランドアカウントを作られるリスクに注意が必要です。
第三者が企業名を使用し、チャンネルを開設するだけで偽アカウントを作成できるからです。
そのため、自社の公式アカウントであることを明確に示す高画質な企業ロゴをプロフィール画像に用いることが重要です。
これにより、視聴者が一目で公式アカウントであると識別できます。
次に、YouTubeの認定バッジを獲得することを目指しましょう。
認定バッジは、YouTubeアカウントが公認であることを証明するためのもので、視聴者にアカウントの信頼性を示します。
ただし、バッジは一定の条件を満たさなければ取得できませんので、その条件を満たすための戦略を立てる必要があります。
また、YouTube以外の公式サイトやSNSでも同一のブランディング(ロゴやカラースキームを含む)を用いて一貫性を保った展開が効果的です。
これにより、偽アカウントとの区別がさらに付きやすくなります。
さらに、ファンや顧客には、公式アカウントのURLを定期的に通知し、公式チャンネルの認識を強化しましょう。
このように、YouTubeアカウントのセキュリティにおいては、公式アカウントを明確にするための対策を講じることが不可欠です。
注意点12:設定するパスワードの使い回しを避ける
YouTubeアカウントを保護する上で、不正アクセスを避けるためにも、パスワードの使い回しを避けるべきです。
パスワードを使いまわしていると、他のサービスで発生したデータ違反が原因で漏えいした場合、YouTubeアカウントにもリスクがおよびます。
したがって、8文字以上の堅牢なパスワードを設定し、サービスごとに異なるパスワードを使用するのがおすすめです。
また、パスワードには、個人情報(生年月日・住所・電話番号など)や簡単に推測可能な一般的な単語・数字(「password」や「12345678」など)を避けておくと良いでしょう。
加えて、定期的にパスワード変更を行うことも有効です。
YouTubeのアカウントのセキュリティを高めるためには、パスワードにも目を向けてみてください。
注意点13:定期的にセキュリティ診断を行う
YouTubeアカウントのセキュリティを維持するためには、セキュリティ診断を定期的に行うことも大切です。
YouTubeアカウントが連動しているGoogleアカウントの「セキュリティ診断」ページにアクセスし、定期的にチェックを実施すると良いでしょう。
以下の手順で、セキュリティ診断を実行できます。
- Googleアカウントのセキュリティチェックページにアクセスする
- アカウントへのログインが不要なデバイスから行われていないか確認する
- 接続済みのアプリケーションとサイトが正当なものであるかチェックし、不審なアクセスがあった場合は直ちに対応する
- パスワードの強度や最終更新日を確認し、必要に応じて更新する
セキュリティ診断によって、YouTubeアカウントに紐づいているGoogleアカウントのセキュリティ状態を一括で把握し、不審な活動や脆弱性を発見しやすくなります。
不正アクセスや乗っ取りなどの脅威からアカウントを守るためにも、定期的にセキュリティ診断を実施しましょう。
YouTubeアカウントを運用するうえでの注意点を押さえよう
YouTubeアカウントを開設し運用する際には、初心者が見落としがちな多くの注意点があります。
まず、作成に際してはブランドアカウントの選択・専用アカウントの準備・初期の制限に対する理解が必要です。
運用面では、自社にとってYouTubeが本当に適切なマーケティング手段かを見極め、その後は戦略策定から品質維持、内容のブレない発信まで、一貫した計画が求められます。
また、炎上リスクへの対策、著作権に対する配慮も欠かせません。
セキュリティ面では、偽アカウント対策・強固なパスワード設定・セキュリティ診断の定期実施が重要です。
このように、YouTubeアカウントの運用では専門知識が求められるため、適切な施策を行うのが難しいと感じる企業も少なくはありません。
「運用が難しい」「適切なマーケティング施策がわからない」という場合は、専門家への相談をおすすめします。
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